Slowの色々

日常で気づいたことや新日本プロレスについて書いていきます。いつもお昼の12時頃に記事を投稿しています。

ネット炎上の研究 感想

インターネットでSNSやニュースサイトを見ていると、毎日のように個人や組織が炎上し、不特定多数から攻撃されているのを見ることになる。 そんな炎上だが、著者は炎上について人々の情報発信や議論を萎縮を招き、社会として解決しなければならない問題だとしている。

本書では炎上が起きる理由は5つに分類している。
1つ目は反社会的行為や規則に反した行為
2つ目は何かを批判するなど暴言、デリカシーのない発言、特定の層を不快にさせる発言や行為
3つ目は自作自演やステルスマーケティング
4つ目はアイドルの恋愛スキャンダルなどのファンを刺激する行動
5つ目は他者と誤解されるなどの勘違い型がある。
5つ目の勘違い型は常盤堂運転者暴行事件でも起こっており、無関係の女性が容疑者だというデマが発生している。

www.sankei.com

以上で5つに分類される炎上だが発生するといくつかの問題が出てくることになる。

それは炎上が起きると情報発信・議論から人々は撤退し、両極端な意見しか出なくなることだ。 人々は炎上を嫌がり、自由な情報発信や議論から撤退することは自由な民主主義社会にとって多くの人が議論に参加し、世論形成が行われなくなることになり、それは社会的コストになる。 また、炎上が起こると激しい誹謗中傷が飛び交い、中庸な意見を持つ人々は嫌気がさし、議論から撤退する。 一方で自分が正しいと信じる両極端な意見を持つ人は議論から撤退しないので、まともな議論が行われなってしまう可能性がある。

そんなネット炎上だが誰が参加しているのか著者は調査しており、ここが本書の一番面白いところである。 意外に思うかもしれないが炎上参加者は意外にも男性で若くて子持ちで年収の多い人物だという。 しかも、炎上参加者はネット全体のわずか1.5%であり、大半は「ひどいな」など一言書き込むだけであるという。 また、対象を直接攻撃し、アカウント閉鎖などに追い込む積極的な炎上参加者はもっと少ない人数になる。 エピソードは割愛するが積極的な炎上参加者の特徴は自分の会社を潰すほど異常に正義感が強い人物であったり、ただ誹謗中傷をするだけの男子学生などであったりする。 炎上に巻き込まれた人の述懐では世の中全体から誹謗中傷を受ける気持ちになるが、実際にはこういう特異な人々に攻撃されるだけだそうだ。

こういった特異な人々のために炎上が起き、ネット全体の議論の停滞が起こるのは社会全体にとっても問題であり、いかにこういう人々のために対策を立てるかが重要になってくる。 その対策とは炎上のためのネットリテラシー教育とサロン型SNSの提唱を著者はしている。

本書の感想としては炎上に対して感覚で分かっていたことや勘違いしていたことが本書を通して理解できるのが良かった。 特に炎上を定量的な分析で調査し、炎上参加者の属性を明らかにしているのは他の炎上対策本には無い特徴だろう。 個人的に本書で残念な部分は炎上を自ら起こして世間の認知度を高める炎上商法について書かれていないことだ。 本書は炎上がネット上での情報発信や議論に対してどのような影響を与えるかについて説明している本であるから仕方ない部分もあるが、炎上商法にも触れてほしかった。 それでもネット炎上について理解を深めたい人にとってはこれ以上無いおすすめの一冊だ。 もし、次のネット炎上本が出るのであれば炎上商法について書いてほしい。