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日本語の歴史 山口 仲美 感想

日本語の歴史 (岩波新書)

日本語の歴史 (岩波新書)

本書は日本語の歴史について書かれたものになっている。 日本語の歴史について書かれた本は数多いが、本書の優れている部分は分かりやすく学べるという点だ。 他の日本語の歴史を扱った本では初学者向けでも大学で学ぶような内容が多く、専門的な知識が必要になってくるものが多い。 しかし、本書は専門的な知識を分かりやすく、魅力的に説明しているので本当の初学者でも安心して学んでいける。

本書の内容は奈良時代から平安、鎌倉・室町、江戸時代を経て明治時代までの日本語の歴史を説明している。

奈良時代に漢字が導入されるが、それ以前は話し言葉が使用されていた。 文字を使う現代人にとって、話し言葉だけで社会生活を営むのはなかなか考えにくい。 しかし、著者はアフリカの文字を持たない小さな部族の人々は話し言葉だけでも社会生活を営んでいるとし、否定している。(どのアフリカの部族の人々なのか疑問に思うが・・・)
小さな部族ではそれでも問題無いが部族が大きくなってくると話し言葉だけでは問題が起こってくる。 それは遠くに住む人物とのコミュニケーションや大きな集団を維持するための決まりや集団の精神生活を支えるための言い伝えを次世代に残すなどの方法だ。 そこで日本人も文字が必要になり、政治・経済、文化から影響の大きい中国から漢字を借りることにした。 しかし、これが大きな問題を生むことになる。 漢字を借りて日本語を書き表すには中国語と日本語では体系が異なる。 古事記でも漢字で日本語を書き表すのに苦労したと序文で書かれている。 けれども漢字に日本語の読みを与えたり、日本語の発音を当てはめた万葉仮名を使用し始め、日本人は漢字と上手く付き合うようになっていった。 他にも本書では奈良時代の発音や神代文字の真偽性、万葉仮名の戯書などが説明されている。 特に万葉仮名の戯書は漢字の導入に苦しんだ日本人がいかに漢字と戯れたのかが書かれているので興味を持ちやすいものになっている。 こうして文字を持たなかった日本人が漢字を導入し、日本語の表記の土台を築いたのが奈良時代である。

後の平安時代では万葉仮名からカタカナ・ひらがなを生み、鎌倉・室町時代では係り結びの消滅など文法の変遷、江戸時代では近代語の始まり、明治時代には言文一致が本書で説明されている。

本書を読み終えて、もっと日本語の歴史を学びたい人には文語文法の知識が必要だが放送大学教材の「日本語の歴史」を読むといいだろう。