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レトリックのすすめ 野内 良三 感想

レトリックのすすめ

レトリックのすすめ

レトリックとは文章に彩りを与える技法である。 しかし、それがどういう技法なのか、それがどのような影響を与えるのか知りたくなったのでこの「レトリックのすすめ」を購入した。

レトリックには2つの意味があり、それはうまく話す技術とうまく書く技術である。 前者は弁論術雄弁術で後者は修辞学とそれぞれ訳語が当てられている。 本書はレトリックを説得術とし、文章の説得力を増すための強力な手段であると位置づけている。

著者は文章の目的を「人を説得するために書くもの/書かれたもの」としている。 人を説得するためには「いかに」書いたらいいのか、言葉にどのような工夫をもたらせばよいのか問題になってくる。 そこでレトリックが必要になってくる。

本書ではレトリックの原理を12に分類している。 それは以下の通りである。
01誇張する
02喩える
03対照する
04ほのめかす
05ぼかす
06くり返す
07追加する
08省略する
09移動する
10呼びかける
11驚かす
12引用する

著者はこの12の原理の中でも1の「誇張する」と11の「驚かす」がレトリックの本質だという。 また、これらの12の原理は単独で働くだけではなく、協働することもあるという。 例として「喩える」と「誇張する」が協働している隠喩や直喩がある。

本書ではこれらの12の原理を三島由紀夫などの名文と共に学んでいくことになる。 名文と共にレトリックを学んでいくのも面白いが、本書で一番面白いのは名文を書いた作者への著者の解説だろう。 例えば三島由紀夫について著者は日本の文学者としては論理的な考え方・書き方をすると評し、三島の書く文章をバタ臭い翻訳調だとしている。 また、鴨長明の方上記を学者や批評家には受けが悪い作品であるが、華麗なレトリック、流麗な音調、畳み込むような歯切れのよい短文が極上であるとし、全文読むことをおすすめしている。 他には森鴎外など読んでいて面白い解説が多々ある。 本書はレトリックを学ぶ面白さだけではなく、著者の解説も楽しめるよい本だ。