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大学4年間の社会学が10時間でざっと学べる 出口 剛司 感想

大学4年間の社会学が10時間でざっと学べる

大学4年間の社会学が10時間でざっと学べる

本書は大学4年間の社会学を10時間で学べるというコンセプトで作られている。 しかし、大学4年間というよりは大学1~2年間で学んでおくべき学習内容だろう。 本書は5部構成になっており、第1部が社会学理論、第2部から4部が身近な事例から社会学を学ぶ内容、第5部から社会学史となっている。

おそらく、初学者にとって一番興味を持って読み進めるのは第2部から第4部の内容だろう。 例えば第2部の家族・地域・社会で紹介されている事例では「満員電車は人を個性的にする」というものがある。 大都市の朝の満員電車を見ると同じようなスーツ姿のサラリーマンをよく見かけることになる。 それを見ると大都市で生活する人たちは没個性的だと思うのかもしれない。 しかし、社会学者のゲオルグジンメルは大都市こそが住民の個性を育むと論じた。 ジンメルによると都市部では莫大な数の人々が暮らし、生活リズムも田舎とは比較にもならないほど早いと言える。 そういう都市部で生きるためには、人間関係において互いに干渉せず距離を保つ必要がある。また、その一方で心理的な倦怠感も抱き続ける特徴がある。 こうした表面的に冷淡で無関心な態度を取ることで、逆に様々な外的な圧力を遮断し、個人の内面世界を守ることができるという。 実際の満員電車の乗客も互いに無関心のように見えるが、メールやSNSをチェックしたり、本や新聞を読んだり、居眠りをしているなど実に多様である。 他には第3部の産業・労働での「本当に役立つのは薄い人間関係」や第4部の消費・宗教・政治・国際社会での「私達がモノを買う理由」など興味を持ちやすい事例から社会学を学んでいくことができる。

また、本書の最後にはもっと社会学を知りたい初学者のために社会学の本の読書案内がある。 こういう入門書ではステップアップするための読書案内がないものが多いので、もっと詳しく学びたい初学者にとってこういう読書案内は嬉しい。 また、図や解説も分かりやすいので社会学をこれから学んでいきたい学生や学び直したい社会人にはおすすめの一冊だ。